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多世代の居場所づくり~「笑顔いっぱいの会」の仲間とともに~ふれあいカフェ トトハウス

醍醐寺に向かう「醍醐和泉」の交差点の北西に「ふれあいカフェ トトハウス」(以下、トトハウス)があります。トトハウスでは、毎月最終日曜日の夜に「みんなで晩ごはん」という集まりを行っています。今回、その集まりに参加しました。以下その様子です。

夕方の5時半ごろに参加者の方が次々とやってきました。参加者は何組かのお子さん連れの親子(パパとママ)で、お子さんは幼児から小学生までの兄弟姉妹が来ています。今日のメニューは、3つ・・鯖缶の箱ずし、ちらしずし、豚汁です。

あらかじめスタッフで用意していたすし飯に鯖缶の鯖(炒めてほぐしたもの)、具を入れたすし飯に玉子、カニカマ、大菜などをそれぞれ参加者の親子がトッピングして食事を楽しんでいました。いつもは1つの家庭で晩ごはんを食べていますが、トトハウスの1つ屋根の下でみんなで晩ごはんを食べると大家族のような一体感や和やかな雰囲気になり、参加者全員、子どもたちも大人も一層、食が進みます。

「一昨年の4月(平成30年4月)から“子ども食堂”としてこの集まりを新しくはじめました。毎回コンスタントに20名前後の参加者になっています。子どもから高齢者まで多世代にわたる集まりになっていて、今の時代にとってとても大切なことだと思っています。」とスタッフの松井さん。

30年来のママ友の絆

トトハウスは今から4年前の平成27年(2016年)の5月に、松井さんが世代を超えた交流の機会をつくる場としてオープンしたカフェです。トトハウスを開店するにあたって、30年来子育てをしていた時に知り合った友人たちの協力を得て、平成28年の4月には「笑顔いっぱいの会」として会を結成しました。

「笑顔いっぱいの会」は、松井章子さん(介護職)、古野幸子さん(元保育士)、吉田恵子さん(元保育士)、安井佐和子さん(介護職)、野田由紀子さん(元教師)、東澄美子さん(介護職)の6名で構成されています。この会の一番の特徴は、メンバーそれぞれが現在仕事をしている(あるいは過去に仕事をしていた)ということからわかるように、いわゆる「専門家集団」であるということです。

「笑顔いっぱいの会」は、メンバーそれぞれの得意分野を活かしながら、子育て支援、高齢者の居場所づくり、多世代交流の場づくりを、トトハウスというカフェを使って精力的に事業を行っています。具体的には、開店当初から実施している「子育てほっとタイム」(毎月第3金曜日)や冒頭で紹介した「みんなで晩ごはん」(毎月最終日曜日)などを開催したり、手づくり教室、「懐かしい歌を聴いて語り合おう」「フォトライフを楽しもう」などを定期的に行っています。今年度(令和元年度)は新たに「子どもが創る町づくりサポート」事業として「こどもだがしや」という子どもたちの自主的な活動を応援する活動を行っています。

人に関心を持っていた子ども時代

これまで数々の事業を企画、実施してきた「笑顔いっぱいの会」ですが、そもそも松井さんがトトハウスを開店して活動を始めたのはどのような理由や事情があったのでしょうか?松井さんから子どもの時に思ったことを含めて、いろいろ昔のお話をうかがいました。

松井さんは、北九州市の小倉で生まれ育ちました。松井さん自身はおじいちゃんやおばあちゃんと暮らした経験がないそうです。そのせいかある漠然とした疑問を持ったそうです。「人は生まれてどう人生を終えるのか・・いろいろな世代とのふれあいが少なく、あるいは分断されたように感じる・・どうしてだろう・・」

その後、結婚されて子育てをしている時に「山科醍醐 親と子の劇場」(現「NPO法人山科醍醐こどものひろば」)の一言寺サークルで「笑顔いっぱいの会」のメンバーと知り合ったとのことです。知り合いのいない、引っ越してきたばかりの醍醐で、一言寺サークルのメンバーと出会い人形劇鑑賞や野外活動を一緒に楽しみながら子育てをしてきたそうです。

「子育てがひと段落した後、介護関係の仕事をしていました。そして50歳になるちょっと前に少し体を悪くして、仕事を休んでいたことがあったんです。休んで時間のある時に、将来のことをいろいろ考えました。50歳を節目にして、これからの人生を、生活を含めてどうするかを考えたんですね。」

松井さんは、子育てグループでの活動経験(人とのつながり)を踏まえ、それまでに感じていた問題意識に再び向き合うなかで、誰もが年齢や世代に関係なく交流できる場をつくろう、そしてそれは先送りせず50代の今やろうと決意したそうです。

子育てママさんのために・・

 トトハウスのこれまでの4年の歩みは、「笑顔いっぱいの会」のメンバー6名の歩みです。

「メンバー一人一人が、いろいろな経験を持っていますから、それぞれメンバーの持ち味を活かしながら、みんなで協力しあって、トトハウスでの活動を行っています。」とスタッフの古野さん。古野さんはトトハウスの開店当初から現在まで、一貫して「子育てほっとタイム」運営を中心に元保育士の経験を発揮して活動しています。

2年間、伏見区区民活動支援事業に多世代交流事業として採択された「子育てほっとタイム」ですが、昨年の11月の開催で40回目をむかえたそうです。

「当初は5~6組の親子が来られていたんですが、子どもが成長するにしたがって母親が仕事をされるようになって、最近では1組の親子の参加ということもあります。でもたとえ参加者が1組であっても子育てママがほっとできる場を私たちがつくることそして続けていくことが大切であると思っています。」と古野さん。

子どもも大人も安心して交流できる居場所づくり

今年度(令和元年度)「笑顔いっぱいの会」が、新しく取り組んでいる活動は、子どもたちが自ら考えて企画する「こどもだがしや」です。この活動では地域の地蔵盆やトトハウスで子どもたちが運営する駄菓子屋を大人たちがサポートしています。この活動も子どもたちが地域のいろいろな世代の方とふれあい、将来地域のことを考える助けになればという思いで行っているとのことです。

松井さんにこれからのトトハウスの活動や夢についてお聞きしました。

「子どもたちや高齢者など私たちを取り巻く環境が昔と大きく変わってしまいましたね。子どもたちが外でのびのびと遊べる場所が今はないように思います。そして高齢者の孤立も問題になっています。」

「子どもたちは多世代で交流できる場での“坊主めくり”やボードゲームに歓声をあげています。みんなで一緒に遊ぶという体験が少なくなっているので、このような場を大人たちが意識的につくっていかなければいけませんね。」

「私の夢は、まちなかに子どもたちがいろんな人に見守られて、みんなで安心して交流できる場所をつくることです。」夢を楽しそうに語る松井さん・・その顔は、優しく、笑顔がいっぱいに溢れていました。

 

ふれあいカフェ トトハウス

〒601-1374

京都市伏見区醍醐西大路町54

(地下鉄 醍醐駅から徒歩10分)

TEL 075-202-3474

9時~17時

営業日 木・金・土

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