©京都市醍醐いきいき市民活動センター

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自家茶畑から丹精を込めて宇治茶をつくる!~歴史と伝統を受け継いでいく“心”~ 長谷川栄製茶場 代表 長谷川 裕晃さん


奈良街道は、時代の流れとともに、街道沿いに新しい住宅やお店が次々と建ちましたが、その一方で昔ながらの古い木造家屋が点在しており、今も街道の面影を残しています。その街道を「石田大山」から南に進み「六地蔵町並」に入るとすぐに趣のある木造の家屋が目にとまります。そこに「長谷川栄製茶場」という宇治茶を製造販売しているお店があります。

現在51歳で、6代目になる長谷川裕晃さん(以下、長谷川さん)が代表で「長谷川栄製茶場」を営んでおられます。もともとは、長谷川さんのお父様が、20数年前に宇治茶の小売りのお店を出したいという思いで工場を一部改築してお店にしたものです。長谷川さんは、3年前にそのお店を全面改装し、リニューアルオープンされました。

お店では宇治茶を主として販売しておられますが、近年それに加えて自園自製、手摘み抹茶100%のスイーツをはじめとする製品開発を行い、お茶菓子を宇治茶とともに販売しておられます。歴史と伝統を受け継いでおられる「長谷川栄製茶場」の営みや長谷川さんの活動について、いくつかの角度からご紹介したいと思います。

茶農家、生産者として、自然と向き合う

長谷川さんは、茶畑を5か所所有されています。そのうちの1つが石田大山町(醍醐病院の横)にあります。宇治市には4か所あり、5か所全部で1ha(10000㎡)ほどの広さだそうです。お茶の栽培は、水と栄養たっぶりの土が大切で、自然環境(気温、湿度、寒暖差、日照時間など)に左右されるので、毎年同じ品質のお茶が生産されるという保証はないそうです。

「毎年違うお茶ができるんです。自然を相手にしているので、そこが難しいところです。でもそこが一番面白い・・日々勉強!です。」

地域、近隣との共存があってこそ

長谷川さんの茶畑では、毎年5月上旬の茶摘みの時期には、数日間、毎日15人ほど醍醐の方に茶摘み(すべて「手摘み」)に来ていただいているそうです。何代にも渡りお世話になっており、この関係なくしては、家業が成り立たないとのことで、昔からの関係を大切にされています。

「仕事上では私が棟梁(親方)なのですが、今来ていただいている摘み子さんは、祖父の代からうちの茶畑を知り尽くしているので頭があがりません。」と長谷川さん。

また、近年は東宇治地域(六地蔵・木幡)の住宅開発が急速に進み、自家茶畑の周囲が住宅となっているため、農薬の散布など、近隣の方々のご理解があってこそお茶作りに専念できるのだという思いから、その関係を大切にしておられます。

地場の伝統産業・文化を次世代に受け渡していく

東宇治地域で茶業に携わる生産者、問屋、小売業者などの若手のメンバーで構成されている「東宇治茶業青年団」という団体があり、20名ほどが活動されています。

長谷川さんは、20代のころから昨年まで長い間、青年団の活動を行ってこられました。活動内容としては、茶審査技術競技大会への出場や練習会を行うなどのお茶の審査技術の向上のための活動や地元の小中学校やコミュニティセンターでの茶香服(ちゃかぶき-お茶を飲んでそのお茶の産地や種類を当てる競技)を行うなどの地域における伝統産業・文化の継承、普及活動があります。

また宇治市では、小学校3年生になると「宇治学」という地場の伝統産業である宇治茶のことを学ぶ授業があり、長谷川さんは小学生を自家の茶畑や工場に案内されるなどいくつかの地元小学校の授業に全面的に協力されています。

時代の荒波を乗り越えて、先代と仕事をする中で、家業を受け継ぐ

先代のお父様は現在84歳、5代目として茶農家を受け継いでこられたのですが、20数年前に工場を一部改築して、現在の場所にお店を構え、宇治茶の小売りを始めました。

昔、現在のお店の北隣にも「長谷川」というお茶のお店があったため、お父様のお名前(「栄治」さん)から「栄」の字をとって、お店の名前を「長谷川栄製茶場」としました。栄治さんははやくに(18,19歳の頃)お父様(「栄次郎」さん)を亡くしたために、すぐに家業を受け継ぎました。戦後、日本の高度経済成長とともに、宇治茶の生産は年々増加し、宇治茶業界そのものが活況を呈した時代だったそうです。

その後、日本経済は安定成長を経て、空前の好景気を迎えました。5年間にわたる好景気が一転、不況に転じた(いわゆるバブル崩壊)後、業界全体そして家業そのものが厳しい状況に変わりました。仕事一筋のお父様の背中を見て育った長谷川さんは、25歳で地元の金融機関を退職し、1年間、宇治市白川にある「京都府茶業研究所」の研修生となり、研修を積まれました。

研修後、長谷川さんはお父様と10年ほど一緒に仕事を行いました。お父様は70歳になる少し前に家業から引退し、長谷川さんが家業をすべて受け継ぎました。

手摘み100%「ほんまもん」へのこだわり

 お茶をとりまく環境の変化について、長谷川さんは次のように指摘されています。

「日本人の生活が時代とともに変化しているため、日常生活において急須でお茶を飲まなくなりましたね。日本人がお茶を身近に感じる機会が減っています。また、今はかつてのようにお茶のお稽古をされる方が減っているためにそういう意味でお茶の世界が遠いものになっています。その一方で、ペットボトルのお茶の登場や抹茶を使った飲み物やお菓子の普及で、違ったかたちで私たちの生活にお茶が入りこんできています。」

そういったお茶をとりまく環境の変化の中で、長谷川さんは、手間ひまをかけてお茶を育て「手摘み100%」の宇治茶をお客様に提供したいという強い信念を持っておられます。

手間ひまをかけたからこそ作ることのできるお茶は、価格を下げることによって市場を広げるよりも、たとえ価格が少し高くなったとしても、本当の宇治茶をつくり、販売したい!というのが、長谷川さんが一貫して持っておられるポリシーです。

次世代に受け渡すもの、宇治茶のこれから

長谷川さんは、20数年間、地場の伝統産業として昔からの家業をずっと守ってきました。

「ここ数年になって、日々家業を営む中で、伝統産業の歴史と伝統の重みをひしひしと感じています。」と長谷川さん。

日本人のライフスタイルの変化、経済環境の変化そして地球温暖化に代表される自然環境の変化により、将来、今の家業(宇治茶の製造販売)が順調に継続できるような環境であるのかどうかは予測がつきにくいと長谷川さんは考えています。

「子どもに将来安心して家業を受け継いでもらうにあたって、たとえ厳しい環境になったとしても、家業そのものを次に引き継げるような状態を私の代で作り上げることが私の役割だと思っています。後世にどれだけほんまもんの宇治茶を引き継げるかが業界の課題ですね。そういう意味でも現役の私たちがしっかりしないといけないですね。」

長谷川さんの夢そして大事にしたいこと

「一生に一度、これは“最高のお茶だ!”と自分自身が“納得”できるものを作ってみたい」というのが長谷川さんの夢です。そして「うちの店は、家族で行っている小さな店です。自営ですので家族の支えがあってこそできるんですね。だから家族みんなが仲よく暮らすことが最も大事なことだと思っています。」とにこやかに語る長谷川さん。

長谷川さんのお人柄がにじみ出ているとともに、自然に湧き上がる“家族愛”が、間違いなく6代の長きにわたり脈々と受け継がれている“家業”の真ん中にある!ということを強く感じました。

たくさんのお客様に本当においしいお茶を飲んでいただきたいという思いから、3年前にお店をリニューアルオープンさせた長谷川さん、宇治茶農家としての歴史と伝統を受け継ぎ“ほんまもん”のお茶作りに日々励んでおられる姿は「キラキラ」輝いています。

長谷川栄製茶場

〒611-0001

宇治市六地蔵町並14番地

(地下鉄東西線「六地蔵駅」より徒歩10分)

TEL0774−33−2741

FAX 0774−32−9786

10:00~18:00 年中無休(不定休あり)


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