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時代の変化を捉え、すべての英知を商品に注ぐ!~小さな変化を見逃さない地道な努力 パイ&カステーラ 山崎屋 山崎 信太郎さん


 醍醐のメインストリートである外環状線を歩いていて、ふと目にとまったお店がありました。外から見ると、ケーキ屋さんのようではあったのですが、なんだかレストランのようにも見えました。お店に入ってみると奥にはピアノがあり、まるでバーのような雰囲気でした。カウンターの店員さんに、「このお店はいつから営業されているのですか?」とたずねると、「1983年からです。今年で創業34年になります。」という答えが即座に返ってきました。醍醐のスイーツのお店として34年の長きにわたり営業を行っていることに驚くとともにこのお店に関心を持ちました。今回、山崎信太郎さんにお店についてのお話をお聞きすることができました。山崎さんは、現在39歳、創業されたお父様とともにお店の屋台骨を支えておられます。

 「パイ&カステーラ 山崎屋」は、1983年、醍醐池田町において、山崎さんのお父様が創業されました。お父様は、独立してお店をスタートするにあたっては「単なるお菓子屋ではなく複合店」を作りたいと思われたそうです。お菓子のテイクアウトだけでなく、店内でも食べていただけるようにカフェスペースを設け、ケーキだけでなく、食事ができたり、カクテルを楽しめたり、また、ライブ演奏やピアノ発表会、パーティー会場としても利用できるような複合店です。

 創業当時、山崎さんは5歳で、小学校4年生まで右京区に住んでおり、嵯峨野小学校に通っていました。学校が終わると母親の運転で1時間ほどかけてお店に来て、閉店後にまた嵯峨野まで帰宅するという生活が続きました。そして、5年生の終わり、池田東小学校に転校してきたそうです。父親の背中を見て育ってきた山崎さんは、「小さい時から、父の仕事を横で見ていました。仕事ばかりしている親のそばで、遊んでもらっているような感覚で手伝いや、雑用をしていたように思います。」

 「店の手伝いもしていましたが、中学校と高校ではクラブ活動(バスケットボール部)に励んでいました。両親は、私のしたいことをやらせてくれました。」

 ケーキ作りはまだまだ勉強中という山崎さん、「当店のお菓子作りは共同作業です。材料を計量したり、混ぜたり、焼いたり、切ったり、様々な工程の中で、スタッフそれぞれの役割があり、一つの商品ができ、お客様のもとに届くまで多くの人の手を介します。みんなで商品を作っていくことで、気づくことも多くなり、ミスも減り、また何より商品に愛着がわき、より良い商品に仕上がるのだと思います。」

「時代によって、変化するお客様の嗜好にも、みんなが商品に携わっているので、年齢の違いや男女の違いからも、色々な意見やアイデアが出てきますし、共同作業をすることは、商品力の底上げになると思います。」

「店は無休でやっています。せっかく来店して下さったお客様をがっかりさせたくありませんからね。それに、お菓子は生きています。鮮度が命ですから、少しも商品を無駄にしたくないという気持ちもあります。」

 ところで、山崎さんに大きな影響を与えた経験とは一体何だったのでしょうか?

 1つは、青年時代の海外体験です。山崎さんは、高校を卒業した後、アメリカに2回行っています。1回目は海外派遣研修として、インディアナ州に1ヶ月半滞在しました。滞在中に、25か国ほどの海外の同世代と文化を共有する2週間のキャンプに参加できる機会があり、その時の経験から、自分はどこで生まれ、どんな街で育ち、何をして生きているのか、また何をして生きたいのか、だれのために、なんのために、生きるのかを、深く考えるようになったそうです。

 2回目は2年間エンターテイメントを勉強するために、カンザス州のコミュニティ・カレッジ(公立の二年生大学)に入学しました。山崎さんは、大学の夏の休暇中に隣街で有名なショービジネスのオーディションに受かり、参加することができたそうです。ミュージカルや演劇を2か月の間に4本も行い、またその演目に合わせたお食事を提供するディナーショー形式のユニークなショービジネスの現場を経験しました。

 山崎さんに大きな影響を与えたもう1つの経験は、お客様の尽力により実現した勉強会です。会社を経営している様々な方と、毎月テーマを決めて、意見交換する勉強会は、月に1回、2年間ほど開催されたそうです。

「様々な業種の方からお話を色々聞くことができて、大変勉強になりました。自分自身や仕事に対する根っこの部分は、この勉強会で培われたと思います。」

 最後に山崎さんの商売哲学、まちに対する想いをお聞きしました。

「この地域の方々に、山崎屋があって良かったと思っていただきたいし、また、私たちのまちには、こんなお店があるよ、と誇りに思っていただけるようにもなりたいと、僕はそんな夢をもっています。その夢に向かって、お店づくり、お菓子づくりをすることが、必ず、まちづくりに貢献することに、つながると信じています。1つ1つのお菓子を、丁寧に作り、日々一歩ずつでも成長し、地域の方々に喜んでいただけるようになりたいです。」

 心を込めて商品をつくりお客様に提供する経済活動をたゆまず行っている「パイ&カステーラ 山崎屋」。なによりも、その商品を語る時の山崎さんの笑顔が印象的でした。

 商品に対するあふれんばかりの愛情が、1つ1つの商品を形づくっています。その商品を味わい私たちが“幸せ”を感じる瞬間、これは、まさに山崎さんが提供するエンターテイメント!だと思いました。長い年月をかけて培われた一人一人の愛情や幸せの連鎖・集積が、地域社会の豊かな暮らしや文化を作っていることを山崎さんのお話をうかがって強く感じました。

 

パイ&カステーラ 山崎屋

〒601-1362

京都市伏見区醍醐池田町8-6 (地下鉄東西線「醍醐駅」より徒歩5分)

☎075-573-1628  午前10時~午後11時 (年中無休)


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