地域とつながる「障害者と共に働く事業所」 ~笑顔とやさしさに包まれた店づくり 社会福祉法人 京都身体障害者福祉センター 京都市だいご学園「カフェ&ショップ ふらっと」
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- 2018年6月22日
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京都市だいご学園(以下だいご学園)は、就職を目指す方、または継続した就労を望む方、利用者一人ひとりに合った「働く」を実現するための幅広い支援を提供している就労支援事業所です。平成15年4月1日に開所して、今年で15年目を迎えられたそうです。
事業所が手狭になってきたため、学園の東隣にパン製造を行う作業場と焼きたてのパンや学園の商品を販売する店舗そしてカフェを併設し、5月7日に「カフェ&ショップふらっと」をオープンされました。寺地ヒサ子園長に「ふらっと」について、お話をお聞きしました。
「ふらっと」で働く利用者の現在の様子
現在36名の利用者がいますが、「ふらっと」の仕事は全員の“あこがれ”になっています。新しい事業ができるため利用者一人一人と面談をしたところ、ほとんどの利用者が「ここで働きたい!」と思っていることがわかりました。接客に対して向き不向きはあるのですが、大きな経験になるので、希望者には全員「ふらっと」で、働いてもらうために制服を揃え、1週間交代で仕事ができるような仕組みも作りました。
しかし、接客作業ということで、希望しても「ふらっと」で仕事ができない人もいます。そういう人には、「ふらっと」で働くために何が必要で何が大切なのかを一緒に考え、目標を掲げ頑張る人も出てきました。
2階では、多様な困りを持つ人達の受け皿として、静かな環境で作業のできるスペースを作りました。また利用者と職員がゆっくり語らえるスペースも作りました。現在はまだフル活用はできていませんが、就労移行の人達に向けてSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)や、パソコン教室などを行っています。
5年間の「学園前販売会」から得た経験
5年前に学園の玄関前でテントを張って、月1回色々なドーナツやパンを販売する「学園前販売会」を始めました。地域とつながりをもちたい、顔と顔の見える関係をつくりたい、そして、なによりも、だいご学園のみんなことを知ってほしいと思ったからです。
販売会を始めてから、地域にお住まいのおじいちゃんや地域の高齢者施設を利用しているおばあちゃんと顔なじみになりました。販売会では、利用者と顏なじみの方との間で会話がかわされました。学園の事務所の前のスペースに少しパンやドーナツを並べてみたところ、少しづつお客様が来てくださるようになりました。
毎日のようにドーナツを買いに来て下さるおじいちゃんがいましたが、ばったり来園されなくなり「最近、あのおじいちゃん、ドーナツを買いに来られないね」と心配していたところ、数日して、娘さんが訪ねてこられ「おじいちゃんは、この間、亡くなりました。でもここに来るのを楽しみにしていましたよ」という話を聞かせてもらい、みんなで手を合わせたようなエピソードもあります。
販売会では、せっかく来ていただいたのに、座ってもらえるところ、食べてもらえるところがないため申し訳ないなあと思っていたところ、近くの醍醐いきいき市民活動センターの方から「いきセンの場所を使って、“ドーナツカフェ”をやりませんか」という話をいただき、2年前に始めました。地域の方との関係がつながったことが本当に嬉しかったです。
提供している商品とサービスは?
5月30日から11時半から14時半に「ふらっとランチ」(500円)を提供しています。サンドイッチをメインに、スープとフライドポテトがセットになっています。
また、日替わりで色々な味が楽しめる「ふらっとスープ」(350円)は、美味しい!と大評判です。手羽先とたくさんの野菜で長時間煮んだ鶏ブイヨンは、美肌効果あり、疲労回復ありの体と心に優しい美容健康スープです。リンゴと玉ねぎの冷製スープも大人気です。
定番のドーナツ、焼き菓子、色々な種類のパンもあります。1階のカフェは、18席あり、「テラス席」(6席)もありますので、こちらもこだわりの「ふらっとコーヒー」(300円)でも飲みながら、お店でゆっくりとしていただければ嬉しいです。
「グーチョキパン屋」のような店をつくりたい!
「ふらっと」は、アニメ映画の「魔女の宅急便」に出てくる“温かくてやさしい雰囲気”の「グーチョキパン屋」のような店を作りたいと思いました。「魔女の宅急便」は、主人公キキの、自立、成長の物語を描いています。キキは、13歳になり修行のためにまちに出かけ、そこで色々な価値観をもっている人たちがいることを知ります。
でも、まちに出ていくことで、そこで遭遇する人たちや動物たちに助けられ、みんなの協力を得ることにより、「生きていく力」を持ち、課題や困難に立ち向かっていくんです。「自分が動くことで成長していく」、「自分の個性を生かしていく」、「ふらっと」は、そのような場所でありたいと思っています。
店のネーミングとしつらえの工夫
「ふらっと」は、上も下もない「平(たいら)」という意味です。誰もがみんな分け隔てなく、お店に“ふらっと”立ち寄っていただける場所にしたいという想いです。
店舗は木の温かみを感じて頂けるように京都府産の木材をふんだんに使用しています。壁は白を基調として、天窓を設け、自然の光を採り入れています。また、1階から2階に上がるところにガラス窓を設けています。
建物の南側の外壁には、「掲示板」をつくり「ふらっと」からのお知らせやイベント案内を掲示して、地域の皆様にお知らせしています。
地域で共に働く“ランドマーク”に!
地域の方と直接かかわることにより、利用者は成長します。「ふらっと」が、地域の皆様に育てていただければ嬉しいです。様々な人と関わりあい、自分が役にたてていることを実感し、一人一人の「生きていく力」を養ってほしいと思います。
このまちでみんなはこれからも生きていきます。自分達にできること、例えば高齢の方の困りにお手伝いができたり、なにかできることを探して役にたてていることを実感してほしいです。「ふらっと」を通して我が事丸ごとの地域共生社会が実現できればいいなあと願っています。
最後に・・・
無料でお茶のサービスを始めました。買い物帰りにでもふらっと立ち寄っていただければと思います。皆様のお越しを心からお待ちしています!
店舗情報
京都市だいご学園「カフェ&ショップふらっと」
京都市伏見区醍醐辰巳町7-1
☎075-571-7216
10:00~16:00(L.O. 15:30)
(土・日・祝日休み)